ビッグエアの台の図
来年2月の平昌五輪で、スノーボードの「ビッグエア」が新種目として行われる。世界最高峰の賞金大会「Xゲームズ」の種目として北米の若者を中心に人気がある雪上スポーツは、五輪でも注目を集められるか。
ジャンプ1つで演技競う
ビッグエアは、ノルディックスキーのジャンプ台を一回り小さくしたような高さ30~40メートル、斜度20度以上の台から飛び、空中で演技する種目。スキージャンプは飛距離と飛型点を競うが、ビッグエアは空中で見せる回転技の難易度や完成度で争う。日本女子のエース鬼塚雅(星野リゾート)は「ハーフパイプなどと違って、ジャンプを一つ見せるだけ。その技がすごいか、どうか。すごく分かりやすいから、スノーボードを知らない人でも楽しめるはず」。男子のトップ選手になると「縦4回転、横5回転」といった大技を披露する。
雪の無い都市部で開催
ショーとしての要素も強い。ジャンプ台は金属製の骨組みでやぐらを組んだ仮設で、雪の無い都市部で大会を開き、観客を集めることができる。イタリア・ミラノで11日にあったワールドカップ(W杯)今季初戦の会場では大音量の音楽とDJのアナウンスが響き、8千人超の観客が詰めかけた。2016年には大リーグ、レッドソックスの本拠フェンウェイ・パークでW杯が開かれたこともある。
五輪で人気出るかは…?
五輪での実施には、若者を中心としたファン層の拡大を狙う国際オリンピック委員会(IOC)の期待がにじむ。ただ、実際に人気が出るかどうかは不透明だ。W杯ミラノ大会の1週間前、デンマーク・コペンハーゲンで開催予定だった開幕戦は、直前になって突然中止に。理由はチケットの販売不振だった。
選手としても「仮設」が鬼門。助走路は幅5メートル程度と狭く、初の五輪出場を目指す広野あさみ(TJR)は「踏み切るまでの動きが制限されて、山で滑るのよりも正直難しい」と苦笑する。
さらに、都市部の高い気温が難易度を高める。W杯ミラノ大会は、最低気温が10度を少し下回る程度。塩をまいて雪面を固めても溶けやすく、スノーボードクロスから転向した藤森由香(アルビレックス新潟)は「みんなが飛ぶと雪面が波を打ってくる。(街中の試合は)コースが荒れやすい」。選手たちは従来の雪上種目にはない難しさとも戦い、男女それぞれ1カ国最大4人の五輪代表入りを目指す。
ただ、藤森は「大勢のお客さんの前で飛べて、すごく気持ちいい。そんな中でスノーボードができるっていう環境に、ずっと憧れていた」と話した。(吉永岳央)
平昌五輪の新種目
〈スノーボード・男女ビッグエア〉 スキーのジャンプ台を一回り小さくしたような台から飛び、空中で見せる回転技の完成度などを競う。
〈アスペンスキー・混合団体〉 大回転コースを使用。男女2人ずつ計4人でチームを作って1対1で滑り、合計得点を競う。
〈スピードスケート・男女マススタート〉 全員一斉にスタートし、リンクを16周。4周ごとの通過順位と、ゴール時の順位に応じた得点の合計で争う・
〈カーリング・混合ダブルス〉 男女2人一組のチーム戦。定位置に二つの石を置いた状態で試合開始。石を投げた人も氷を掃く。