多磨全生園を訪れ入所者に声を掛ける天皇、皇后両陛下。平沢保治さんが隣で案内した=1991年3月、東京都東村山市
天皇陛下が退位する日が1日、決まった。「平成」とともに平成31(2019)年の4月30日に務めを終える。ゆかりの人たちが、思いを語った。
特集:皇室とっておき
もう一度お会いしお礼を
元ハンセン病患者で、国立ハンセン病資料館(東京都東村山市)の語り部を続ける平沢保治(やすじ)さん(90)は、1991年3月に両陛下が同市の国立ハンセン病療養所「多磨全生園」を訪れた際、案内役を務めた。両陛下は一人一人と丁寧に話し、懇談は約1時間長引いた。「本名も言えず肉親にも会えない入所者が、どれほど元気づけられたか」と振り返る。
77年、病への差別がまだ強かった時代にも皇太子ご夫妻として全生園を訪れた。お二人は身をかがめ、患者の指の無い手をさすり「お体はどうですか」といたわった。「何千の啓発活動より、両陛下が入所者の手を握る姿が差別解消の力になった。もう一度お会いし、お礼を申し上げたい」(緒方雄大)
慰霊、続けてほしい
旧満州からの引き揚げ者で長野県軽井沢町在住の市川渥夫さん(83)は、「天皇陛下の願いが国民に理解され、退位が実現する。安心し、心を新たに精いっぱい退位まで公務に臨まれるのでは」と話した。
天皇、皇后両陛下は2015年8月、旧満州からの引き揚げ者らが入植した同町の大日向開拓地を訪れ、市川さんらと懇談した。
市川さんの兄は、太平洋戦争の…