飼い主と登山するなど活動的なレトリバーも=2015年
一人暮らしでイヌを飼っている人は、心臓病や動脈硬化で亡くなるリスクが大幅に減る――。こんな分析をスウェーデンの研究チームが、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した。散歩などで飼い主が体を動かす機会が増えるほか、イヌとの絆が孤独感やストレスを癒やし、健康にいい影響を与えている可能性があるという。
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研究チームは、スウェーデンの約340万人(40~80歳)を12年間追跡した医療データを活用。別に登録されているイヌの飼い主情報と照らし合わせて、健康への影響を調べた。イヌを飼っている人は13%いた。
分析の結果、一人暮らしでイヌを飼っている人は、飼っていない人より心臓・血管の病気で死亡するリスクが36%低下。家族と同居している人でも15%低かった。特に、レトリバーやポインターなど、活発な狩猟犬を飼っている人ほどリスクが低い傾向があった。
イヌを飼うことで死亡率が下がったのか、イヌを飼う人の生活習慣がもともと健康的だったのか詳しい因果関係はわかっていない。研究チームは、イヌと外に出る機会が増えることに加え、イヌとのふれあいや社会的な交流が盛んになること、イヌになめられるなどして飼い主の免疫が活性化する可能性などが背景にあると見ている。(水野梓)