生後半年の男の子を預かる里親の女性(手前)と、NPO法人キーアセットの職員。里親が負担を抱え込まないよう、寄り添う
小さないのち 育ちを支えて
親元で暮らせず、「社会的養護」が必要な子どもは全国に約4万5千人いる。多くは施設で暮らし、里親などの家庭に入れる子どもは2割に満たない。厚生労働省の有識者検討会は8月、就学前の子どもは原則施設に入れず、7年以内に75%以上を里親に受け入れてもらう数値目標を掲げた。現状では里親が足りず、養育の担い手をいかに増やすかが課題だ。
長男はバイク事故、次男はうつ 養子の心の傷に気づけず
問題行動や発達障害などで困難を抱えた育て親への支援のあり方も問われる。朝日新聞社が児童相談所を置く69自治体に行った調査では、8自治体が2015年度に「里親家庭で虐待を受けた事例があった」と答えた。
NPO法人キーアセット(本部・大阪府)は、里親の募集から研修、子どもを預けた後の支援まで担う。渡辺守代表(46)の母親が里親をしていて、その苦労を見てきた。3歳前に迎えた男の子は「おうちに帰りたい」と泣き、思春期には反抗し家を出たがった。母親は「私の命に代えてもこの子を育て上げる」と話していたが、最終的には、渡辺さんが代わって里親になった。
渡辺代表は「母も彼もがんばっていた。誰かが悪いのではなく、何かが欠けていた」と振り返る。キーアセットでは里親が困難を抱え込まないよう、担当者が寄り添って一緒に子育てを考える。支援さえあれば、普通の家庭が里親家庭になれると考えている。「でも、その普通の家庭で、特別な経験ができる子がいるんです」
大阪府に住む女性(43)は、…