佐喜眞美術館と米軍普天間飛行場をへだてるフェンスの前に立つ佐喜眞淳さん=沖縄県宜野湾市、山下龍一撮影
沖縄県名護市の海岸に、米軍輸送機オスプレイが不時着水して大破した事故から、13日で1年。その後も米軍によるトラブルが繰り返され、今も沖縄の空に米軍機が飛び続ける。「米軍優先」のこの国に、憤りの声が上がる。
特集:沖縄はいま
垂直離着陸機「オスプレイ」
住民のこと考えていない
沖縄本島北部の東海岸。太平洋を望む海沿いにある名護市安部(あぶ)地区に、約130人が暮らす。「米軍は、住民のことは考えていないんです」。地元の自治会長、当山(とうやま)真寿美さん(39)は1年をそう振り返った。
事故を知ったのは、翌日の早朝だった。集落の道路には米軍関係者や警察官らがあふれ、地元の子供たちがよく魚釣りをする場所に、大破したオスプレイの機体が見えた。
集落から約800メートル。「これ、本当なの」。状況がのみ込めなかった。
住民にとって身近な場所で起きた事故。集落は米軍に、現場の環境の回復と事故原因の説明を求めた。
だが、米軍が「残骸の回収を終えた」とした後も、配線がついた機体の破片やヘルメットなどが見つかり続けた。事故からわずか6日後の12月19日、米軍は地元への説明もないままオスプレイの飛行を再開させた。9カ月後の今年9月に公表された米軍の事故調査報告書は専門用語も多く、知りたい答えはなかった。
安部地区は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設工事が始まった辺野古から直線で4キロほど。事故はどこでも起こりうると感じる。
10月には、隣接する東村で米軍ヘリの炎上事故が起きた。高まる不安と抗議、それを無視しての飛行再開……。当山さんは言う。「結局、同じことの繰り返しなんだ」
■座り込みに加わっ…