ノーベル文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーと近い人物にレイプ疑惑がもたれている問題で、今度はこの男性が文学賞の発表前に受賞者を把握し、外部に漏らしていた疑いが浮上した。スウェーデンの大手紙が4日報じた。
ノーベル文学賞選考機関の関係者にレイプ疑惑報道
秘密厳守の選考に部外者が関わっていたとなれば賞の信頼を揺るがしかねず、10日の授賞式を前にアカデミーには厳しい視線が注がれている。
男性はスウェーデン文化界の重鎮。アカデミーから資金提供を受けて文化施設を運営、過去のノーベル文学賞受賞者らを招いて講演会などを開いてきた。同国の大手紙が先月、男性からレイプされたなどと主張する女性18人の訴えを報道。アカデミーは男性との一切の関係を断つと宣言した。
この大手紙は4日、今度は被害を訴えた女性の一人が、2014年のノーベル文学賞の発表の2日前、当時の勤務先だった男性が運営する文化施設で、男性から仏作家パトリック・モディアノが受賞すると告げられた、と報じた。実際にモディアノ氏は14年の文学賞を受賞した。他の女性たちの証言では04年と05年にも、男性は発表前に受賞者を示唆する発言をしていたという。
男性は本来、選考状況を知りうる立場にはない。取材を受けたアカデミーのエングルンド前事務局長は、男性はアカデミーのメンバーである妻から聞いたのだろうとの見方を示した。
アカデミーはレイプ疑惑報道を受け、ノーベル文学賞などアカデミーが関わる賞の選考に部外者である男性が影響を及ぼしていなかったか調査を始めていた。(ロンドン=下司佳代子)