来年から始まる新サービスのイメージ。スマホのQRコードをかざして会計する(日本図書普及提供)
書店を牙城(がじょう)としてきた図書カードが、クオカードに押されて苦境にある。図書カードの発行会社は来年1月から新サービスを開始して巻き返しを図る。コンビニやファミレスなど利用先の多さが魅力のクオカードに、本しか買えない「不便さ」を逆手に迎え撃つ。
図書カード(昨年から「図書カードNEXT」に変更)は、出版社や取り次ぎ、書店など出版界による共同出資会社「日本図書普及」が発行する。利用できる書店は約9千店あるが、書店そのものの減少もあり1990年度の約1万4千店から下降線をたどる。図書券と合わせた発行高も2000年度の771億円から16年度は461億円に。
厳しい状況が続く中、06年にクオカードが書店に参入してきた。「当初は図書カードの競合商品ということで抵抗感のある書店が多かった」とクオカード社の袴田崇マーケティング企画課長。徐々に浸透し、利用できる書店は今春、目標の1千店に達した。ジュンク堂書店や三省堂書店、紀伊国屋書店など全国チェーンや地域の中核書店が主だ。
3年ほど前から取り扱うある書店は周囲の競合店で導入が続き、「本の売り伸ばしのために導入を決めた」と担当者。同店では図書カードも販売している。売り上げは依然図書カードが上回るが、クオカードも伸びており、「かつてない激しい競争状態」という。企業による購入はほぼクオカードとなり、図書カードは自治会や子供会のほか、保育園や幼稚園の卒園記念の需要が多いという。
クオカードの強みは、書店以外…