川内優輝(左)とともに表彰台に立った浜崎達規
17日に山口県防府市で開催された防府読売マラソンで、1、2位を公務員ランナーが占めた。優勝は川内優輝(30=埼玉県庁)。2位に今春、実業団の小森コーポレーションを退社し、沖縄本島南部にある南城市役所に勤める浜崎達規(はまさきたつのり)(29)が入った。浜崎は「川内さんと1メートルでも多く一緒に走って何かを学ぼうと思っていた。まさか33キロまでついていけるとは思わず、感慨深い」と話した。
特集:沖縄はいま
浜崎は沖縄県うるま市出身。沖縄工高から亜大を経て小森コーポレーションに入った。亜大時代には箱根駅伝も経験。今年の元旦の全日本実業団対抗駅伝ではエース区間の4区を走った。ところが「実業団で必死に練習してもマラソンで2時間10分を切れず、3年後の東京五輪を目指す自信を失っていた。沖縄に帰りたい気持ちも強かった」。南城市が実施しているスポーツや文化で実績を残している人向けの「特別選抜採用」の試験に合格し、今春から健康増進課に務めている。
「川内さんのスタイルを意識して練習している」。朝練習を終えて、午前8時半から午後5時15分まで勤務。午後7時くらいから距離走などに取り組み、終了は午後10時くらいになる。今年は防府のほか長野、北海道、ブエノスアイレス、那覇でマラソンを走った。数多くのレースに出たのも「川内スタイル」だ。
「実業団では結果を出すことが仕事。だから常に結果を追い求めていた。今はそれがないところが大きな違いですね」。練習量は落ちたが、重圧から解き放たれたのがよかったのか、防府では2時間11分26秒と自己ベストを46秒更新。このタイムは沖縄県記録となった。「実業団時代に出した自己記録を超えたら死ねるくらいに思っていたら、早々に出た」と本人も苦笑い。「東京五輪の代表選考会となるマラソングランドチャンピオンシップなんて頭の片隅にもなかった。今回の結果を受けてその出場権獲得が今後の目標になった」
公務員ランナーの先輩川内は「ご当地ランナーのように、日本全国で一流ランナーが生まれ、マラソンブームとエリートランナーが結びついてくれるとうれしい」。浜崎も地元で子供たちを教えるなどの活動をしている。(堀川貴弘)