岐阜県大垣市の西濃鉄道(貨物専用)で昨年10月に起きた貨物列車の脱線事故について、国の運輸安全委員会は21日、事故調査報告書を公表した。枕木の劣化などでレールが車輪からの圧力に耐えきれず、すでに広がっていたレールの間の幅(軌間)がさらに広がり、脱線に至った可能性を指摘している。
事故ではディーゼル機関車を含む25両編成中、11、12両目の貨車が脱線。運転士ら乗務中の4人にけがはなかった。
報告書によると、脱線が始まった右カーブは、直近の検査になる昨年4月で軌間が14ミリ広がっていた。枕木の劣化やレールを固定する犬くぎの浮き上がりなどでレールを固定する力が低下しており、走行する車両の横圧からさらに軌間が広がって脱線に至った可能性があると分析している。同社では、軌間の拡大が16ミリ以上になったら線路を整備するという慣例になっていたという。
運輸安全委は再発防止策として、線路整備の実施方法の見直しや枕木を木製からコンクリート製などに置き換えることを挙げている。
報告書を受け、同鉄道の箕浦治夫社長は「事故後、線路や枕木の目視回数を増やした。危険と思われる別の箇所の整備工事を始め、さらなる安全対策を講じたい」と話した。
同鉄道は、同市内の採石場から石灰石を運搬する貨物専用で、乙女坂駅―美濃赤坂駅間で1日3便運行している。