韓国・堤川市で21日、火災で煙が上がる8階建てのビルに向かい消火活動にあたる消防士たち=AP
韓国の消防当局によると21日午後3時50分ごろ、忠清北道(チュンチョンプクト)堤川(チェチョン)市の8階建てのビルで火災が起き、30人が死亡し、29人が煙を吸うなどして病院に運ばれた。現場は沐浴湯(モギョクタン)と呼ばれる銭湯やサウナ、ジムが入ったビルで、入浴中の客らが多数死亡したとみられる。消防当局などは、駐車場になっていたビル1階から炎が上がり建物全体に燃え広がったとみて、原因を調べている。
路上駐車で消火遅れる? 韓国のビル火災、死者は29人
目撃者によると、炎は1階から8階まで瞬く間に燃え広がり、有毒ガスを含むとみられる黒煙が上がった。駐車場にとめてあった乗用車に次々に引火したことに加え、ビルに可燃性の建材が多く使われていたとの指摘がある。
1階から火災が起きたため、ビル内にいた客は逃げ場を失った。一部の客は屋上に逃れてはしご車やヘリコプターで救助された。付近に路上駐車する車が多く、消防車の到着が遅れたという。
ビルは2、3階が銭湯とサウナ、4~7階がスポーツジム、8階が食堂という構造で、死亡者の多くは銭湯とサウナで見つかったとの情報もある。
ソウルの日本大使館によると、21日夜現在、日本人の被害は確認されていない。文在寅(ムンジェイン)大統領は迅速な救出を指示した。
堤川市はソウルから約140キロ離れた人口約14万人の内陸部の地方都市。(ソウル=武田肇)