四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを命じた広島高裁の仮処分決定を不服として、四電は21日、決定の取り消しを求める保全異議を広島高裁に申し立てた。決定が運転差し止めの理由とした阿蘇山(熊本県)の大規模噴火の影響について、全面的に争うとしている。
【特集】伊方原発
今後広島高裁で決定を取り消すかどうかが異議審で審理される。来年9月30日まで運転を差し止める決定を出した野々上友之裁判長は20日で定年退官しており、別の裁判官らで判断する。四電は21日、異議審の結論が出るまで仮処分決定の執行を停止することも広島高裁に申し立てた。
保全異議申立書によると、四電は3号機の運用期間中に阿蘇山の巨大噴火が起きる可能性は低いと主張。また過去260万年間で最大規模の噴火が起きたとしても住民らは避難のため3号機から離れていくとし、事故で放射性物質が放出されても具体的な危険性はないとしている。
四電本店(高松市)で同日会見した佐伯勇人社長は広島高裁決定について、「これまで地裁や高裁で示された社会通念を踏まえた常識的な判断を覆した」と批判した。(小林圭、森下裕介)