公式練習で調整する宮原知子=遠藤啓生撮影
実績ある者が本来の力を見せるのか、追うダークホースが勢いに乗って上回ってくるのか。フィギュアスケートの平昌五輪代表最終選考会を兼ねた全日本選手権は、23日午後5時15分に女子フリーが始まる。代表2枠を巡る戦いは、逆転可能な10点差以内に7人がひしめく大混戦だ。
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21日にあったショートプログラム(SP)で首位に立った坂本花織(シスメックス)は23日午前の練習で高く幅があるジャンプを決め、勢いを持続していた。今季シニアデビューしたばかりの17歳。グランプリ(GP)シリーズのロシア杯でミスを重ね、涙をこぼした。そこから大きく巻き返し、代表確定となる全日本優勝を自力でつかめる位置につけた。緊張で崩れることもあるタイプ。「落ち着いてしっかりノーミス」と自分に言い聞かせた。首位で最終滑走という重圧を跳ね返せるか。
19歳の宮原知子(関大)はSP2位の好位置につけた。全日本選手権3連覇中で、世界トップ6が集うGPファイナル5位と、実績でリードする。大崩れしなければ、今大会の上位も五輪代表も手が届く。
21歳の本郷理華(邦和スポーツランド)は昨季から続いていた不調を21日に振り払ってSP3位。ただ、練習ではジャンプに不安定さが残る。フリーもSP同様にミスなく滑りたい。
16歳の樋口新葉(東京・日本橋女学館高)は首位と4・66点差の4位。GPファイナルに出場するなど、実績がある。3位以下でも五輪代表の可能性があるが、確実にするためにも2位以上になりたい。
宮原、樋口のGPファイナル出場組は、仮に3位以下になったとしても、2位の他選手を押しのけて代表入りする可能性がある。つまり、それ以外の選手は、2位になっても代表の座をつかめるわけではない。確実に代表入りするには優勝する必要がある。
今季シニアデビューした16歳でSP6位の本田真凜(大阪・関大高)、昨季世界選手権5位の実績を持つ18歳で、SP7位の三原舞依(シスメックス)は、まずは完璧な演技をすることだ。この競技は、複数の選手が次々と転んでしまう“負の連鎖”も珍しくない。大逆転勝利で女王になっても、何の不思議もない。
また、15歳でSP5位の紀平梨花(関大ク)は年齢制限のため平昌五輪に出場できないが、得意のトリプルアクセル(3回転半)ジャンプを武器にどこまで順位を上げられるか注目だ。(後藤太輔)
SP順位と得点
順位 氏名 得点 点差 フリー自己ベスト
① 坂本花織 73・59 141・19
② 宮原知子 73・23(0・36) 143・69
③ 本郷理華 70・48(3・11) 129・97
④ 樋口新葉 68・93(4・66) 145・30
⑤ 紀平梨花 66・74(6・85) 128・31
⑥ 本田真凜 66・65(6・94) 133・26
⑦ 三原舞依 64・27(9・32) 146・17
※紀平は年齢制限のため五輪には出場できない