今後のがんゲノム医療のイメージ
日本人の死因1位で、年間新たに約100万人が診断されるがんのオーダーメイド型医療を国が推進している。国立がん研究センター中央病院は来月にも、個人ごとに最適な治療をするため、患者の遺伝情報(ゲノム)を検査する「がんゲノム医療」を先進医療に申請する。認められれば一部で保険がきくようになる。他にも複数の施設が申請を準備中で、国は2019年度中の保険適用をめざしている。
(がん新時代:89)「ゲノム医療」で探る治療法 遺伝子を解析、がん原因特定に有効
がん細胞の遺伝子100種以上を網羅的に調べ、どの遺伝子に異常が起きているかを突き止め、変異に応じて薬などを使い分ける方法。個々の患者のがん細胞の特徴に合う抗がん剤を使うことができ、より効果的な治療ができるようになると期待される。検査は数十万円かかり、一部の施設で臨床研究や自由診療で実施されてきた。中央病院は年明けに厚生労働省に申請。同省の有識者会議の了承を得て来年度の早い時期の実施をめざす。第一号となる見込み。
細胞内の遺伝子がコピーされる過程などで、何らかの異常が起きると、がん細胞が生まれる。ゲノム医療は、患者のがんや正常組織から細胞を採り、次世代シークエンサーと呼ばれる専用の機械で検査して遺伝情報を読み込む。複数の専門家が、情報をもとに治療法の中から最適なものを選定する。これまでの臓器ごとから、遺伝子の変異ごとに異なる治療法へと選択肢が大きく広がる。
中央病院の計画では、対象は再…