青学大の原晋監督は「“ハーモニー大作戦” 優勝」
「ハーモニー大作戦で優勝」「いや、止めるのはうちだ」「1区2区からガンガンいく」――。来年1月2、3日に行われる第94回箱根駅伝で、有力5校の監督によるトークイベントが10日、東京都内であり、前哨戦となる舌戦を繰り広げた。
青学大、箱根は「ハーモニー大作戦」 肝心なのは指揮者
王者・青学大の原監督が口火
口火を切ったのは、テレビ出演も多く、軽妙なトークでおなじみの青学大の原晋監督(50)だった。大会の目標を聞かれると、「今日はきれいな女性がいっぱいいますね」と、まずは会場に詰めかけた聴衆を味方につける作戦に出た。
そして「もしかして(テレビドラマ「陸王」に出演中の)竹内涼真が来ると思ったでしょ。みなさん、原監督ファンですか?」と振るも、会場の反応はいま一つ。
めげずに掲げたボードには「“ハーモニー大作戦“ 優勝」と記した。10月の出雲駅伝で2位、11月の全日本大学駅伝は3位と今季はここまでタイトルを取れていないが、「箱根は4連覇、狙いますよ。小澤征爾さんじゃないですけど、私がパパパっと(指揮を執って)。昨日のミーティングでも、学生たちに『あの鐘を鳴らすのは君たちだ』と言った。調和が取れれば、間違いなく勝てると思います」と自信を見せた。
東洋大・酒井監督は対抗意識むき出し
これに対抗したのが、過去9年で優勝4回、2位4回、3位1回と抜群の安定感を誇る東洋大の酒井俊幸監督(41)だ。目標に「10年連続の3位以内」を掲げつつ、「あの(青学の)勝ちを止めるのは東洋だ、と言われるように頑張りたい」と対抗意識をむき出しにした。
神奈川大・大後監督が仕掛けた
「往路優勝」を掲げたのは、全日本大学駅伝を20年ぶりに制した神奈川大の大後栄治監督(53)。オーダー順も明かし、仕掛けた。
前回大会でも1区を走った山藤篤司(3年=愛知学院愛知)、学生一のランナーとの呼び声高い鈴木健吾(4年=愛媛・宇和島東)を1区と2区につぎ込むことを明言し、「とにかく1区2区でガンガンいきたい。ハイペースに持ち込み、よその大学のエースをここに投入させたい」。
順大の長門監督「往路に三本柱ぶち込む」
この発言に各校の監督も反応した。
順大の長門俊介監督(33)は「大後監督が『1、2区を荒らしたい』と言っている以上、ぶち込むしかない。三本柱で往路を戦いたい」。1万メートル27分台の塩尻和也(3年=群馬・伊勢崎清明)、前回大会4区の区間賞、栃木渡(4年=栃木・佐野日大)、山登りのスペシャリスト山田攻(3年=福島・学法石川)。この3人を往路に投入し、総合4位だった前回を上回る成績を狙う。
早大・相良監督「この流れ、ガンガン行くしか」
「優勝」を目標に掲げた早大の相楽豊監督(37)も「このイベントが始まるまでは、10区間すべて白紙だったが、この流れだと1区2区からガンガンいくしかないでしょ」と、スピード自慢の新迫志希(2年=広島・世羅)を1区、エース永山博基(3年=鹿児島実)を2区で起用することを示唆。序盤から各校の主力級がぶつかり合うハイペースな展開を楽しめそうだ。
参加しなかった東海大・両角監督は…
トークイベントに参加したのは前回大会上位5校の監督だったため、今大会で青学大、神奈川大と並ぶ「3強」との下馬評が高い東海大の両角速監督(51)はいなかった。
イベントに先立つ記者会見で両角監督は「1万メートルの(エントリー選手上位10人の)平均タイムはうちがトップ。トラックでのスピードを重視し、出雲駅伝で優勝できた。箱根駅伝はまったく別の物だと思っているが、磨いてきたスピードでどこまで勝負できるかだと思う」。静かな口調で闘志をのぞかせていた。(平井隆介)