会見の冒頭で謝罪するJR西日本の来島達夫社長(中央)。右は吉江則彦副社長、左は森川国昭新幹線管理本部長=27日午後、大阪市北区、内田光撮影
博多発東京行きの新幹線「のぞみ34号」(N700系、16両編成)の台車に亀裂が見つかった問題で、JR西日本は27日、来島(きじま)達夫社長らが会見を開き、車内に11人いた乗務員や保守担当ら関係者全員が音やにおいなどの異常を認識していたことを明らかにした。運行停止を決めることができる東京の指令員との間で認識のずれが生じ、電話での報告の聞き漏らしもあり、運行を停止させる判断ができなかったという。
JR西はこの日、多くの異常を感じながら運行したことについて、関係者への聞き取り調査の結果や電話の録音をもとに経緯を説明。運行時に気づいたトラブルは計30件に上ったが、これまでJR西では音やにおいなど複合的なトラブルに対処するルールはなく、点検実施や運行停止に関し、指令員と保守担当が互いに判断を譲り合い、運行を継続していた。
最初に異常が分かったのは、11日午後1時33分に博多駅を出発した直後。亀裂が見つかった13号車付近で車掌が感じた甲高い異音だった。その後も異音や異臭は断続的に続き、岡山駅で乗り込んだ保守担当が13号車の洗面所付近で床下から伝わる振動を確認。車内販売員も天井と床下から「うるさく感じるくらい大きな音」を聞いた。
しかし、運行に携わった関係者は自ら運行停止の判断をせず、指令員は「点検の必要があるなら保守担当が明確に伝えてくると認識していた」、保守担当は「指令員がどこで点検するか、調整してくれる」と受け止めていた。
保守担当が指令員に電話で新大阪駅で床下の点検をするよう提案した際、指令員は別の指令員から状況報告を求められ、その間に受話器を耳から外していたため、内容を聞いていなかったという一幕も明らかになった。
運行中には亀裂が生じていた台…