東京・池袋の「しょうちゅうざんまい」でテレビの開票速報を見守る=22日午後8時過ぎ、東京都豊島区東池袋1丁目
■酒場で 2017衆院選
特集:2017衆院選
風雨が強まる投開票日の夜。高層ビルが並ぶ東京・池袋東口の繁華街に出た。脇道に入った「美久仁小路(みくにこうじ)」の居酒屋「しょうちゅうざんまい」。22日午後8時前、店のテレビが開票速報に切り替わる。「大みそかの年越しライブのようでワクワクしてきます」。スタッフの小川玲さん(21)が仕事の手を休め、語る。
ここは「希望の党」代表小池百合子都知事のおひざ元の東京10区。希望、立憲、自民、共産など6人が立った激戦区だ。「注目の選挙区ということは知ってましたが、私は投票に行きませんでした。候補者がどんな人なのか分からなくて……」。埼玉から来た常連客の男性(33)も投票しなかったという。「政治が信用できないのです」。焼酎を飲み干し、そう語った。自公で過半数というテレビの速報に驚きもないようだ。
台風21号の接近で外は土砂降りの雨。誰も選挙に関心がないのか? そう思ったら、別の男性客(67)は「貧困や格差など社会の分断に日本の政治がどう向き合うかの分岐点。もちろん一票を投じましたよ」。小選挙区は与党、比例区は野党に入れたという。
青江三奈さんが歌った「池袋の夜」(1969年)を思い出す。情感たっぷりのハスキーボイスは「東京のため息」とも呼ばれた。この夜も、あちこちの選挙区で歓声やため息が漏れたのだろう。
大勢が判明したあと、浅草へ向かう。自民、立憲、希望の三つどもえの激戦になった東京2区。雨脚は激しさを増し、人影はまばらだ。浅草演芸ホール近くの老舗のカラオケ居酒屋「金華園」が開いていた。店を経営する姉妹は、政治に厳しい目を向ける。「政治家の皆さんは『国民に見られている』という民意の重さを感じてほしい。与野党とも、議席ほしさで右往左往するのはもうやめて」
午後11時過ぎ、東京2区で自…