南極を目指す主人公たちと南極観測船。アニメ「宇宙よりも遠い場所」から(C)YORIMOI PARTNERS
女子高生4人が南極を目指すという、観測隊をモチーフにしたアニメ「宇宙(そら)よりも遠い場所」が、来年1月2日から「TOKYO MX」などで放送される。リアリティーを高めるため、国立極地研究所の職員らが製作に協力した。
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同作品は、何かを始めたいと思いつつ最初の一歩が踏み出せない女子高校生が、南極行きを切望する同学年の仲間と出会い、南極を目指す物語。監督のいしづかあつこさんは製作に当たって、南極の資料を集め、観測隊に参加した研究者や料理人などに取材を重ねてきた。
2010~11年の夏隊に参加した極地研広報の小浜広美さん(53)も取材を受け、南極での生活を話した。夏でも外の気温が低いため、冷蔵庫を使わずに飲み物を屋外で冷やすことなどを説明。「アニメにどう使われるかわからないけれど、放送が楽しみ」と話す。
極地研によると、07年、南極の昭和基地へ招待した元宇宙飛行士毛利衛さん(69)の一言がアニメの題名の由来だ。毛利さんは昭和基地へ向かう際「宇宙には数分でたどり着けるが、昭和基地には何日もかかる。宇宙よりも遠いですね」と話したという。
いしづかさんは「取材を経て、南極に滞在する人の息づかいを感じるようになった」とし、アニメを見る人に向けて「新しいことに興味を持ち、思い切って遠くを目指して欲しい。そこで得た感動は生涯、心の中に残る」と話している。