アフリカの英植民地に赴任したクライヴ(髙嶋政宏・右)に進言する現地の召使ジョシュア(正名僕蔵)。何やらたくらみがあるらしい……=22日の公開稽古より
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性的関心がタブー視されていた19世紀末ビクトリア朝のイギリス植民地で巻き起こる、官僚一家の不倫、同性愛、稚児趣味などのどたばた騒ぎ。幕が変わると約百年後のロンドン、ただし登場人物は25歳しか年を取っていない……。奇抜な設定と、性別をまぜこぜにした配役で「束縛からの解放」という主題を突きつける演劇「クラウドナイン」が29年ぶりの木野花演出で、12月1日から東京芸術劇場シアターイーストで上演される。
記者(戸田)は1980年代末、「朝日ジャーナル」の劇評を読んで、女優・木野花が演出を手がけた「クラウドナイン」を見た。小生意気な大学生の心をわしづかみにした舞台をまた味わえるのか、稽古場に足を運んだ。
性のロンドに抑圧の影
22日、報道陣を招いて行われた東京・豊洲での公開稽古はたびたび笑いに包まれた。
第1幕の舞台はアフリカ。行政官として赴任した謹厳なようで実は好色な家長クライヴ(髙嶋政宏)は、ピクニックの合間に隣人の未亡人ソンダース夫人(伊勢志摩)のスカートに潜り込む。貞淑なはずの妻ベティ(男性の三浦貴大が演じる)は、母モード(宍戸美和公)の目を盗んで探検家ハリー(入江雅人)に熱を上げる。しかし、ハリーは実は男色家。ベティの息子エドワード(平岩紙)に手を出していることに気づかない。
そんなベティに熱い視線を送る…