看護師の配置が最も手厚い救急や重症患者向けの入院ベッドについて、厚生労働省は来年度の診療報酬見直しで看護師が少なくてすむベッドへの転換を促す仕組みを導入する方針を固めた。高齢化で急性疾患の患者が減り、慢性疾患を持った患者が増えてベッドの稼働率が低下傾向にあるため、ニーズに対応した医療体制にする狙いがある。
24日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に提案する。
入院患者を診る際の病院の報酬は、主に看護師の人数で変わる。最も配置が手厚く、報酬が高いのは患者7人に対して看護師1人の「7対1病床」だ。昼夜を問わず忙しい急性期病棟の看護師を増やし、看護の質を高める目的で2006年度に導入された。
だが、報酬が高いため多くの病院が採り入れ、06年の約4万5千床から17年には約35万床に急増。医療費が膨らんだため、厚労省は14年度の報酬改定で算定基準を厳しくし、当時36万床あった病床を2年で約9万床減らす目標を立てたがうまくいかなかった。
厚労省が今回考えたのは、7対1の次に報酬が高く、救急や重症者にも対応できる患者10人当たり看護師1人を配置する「10対1病床」への転換を促す仕組みだ。7対1の入院基本料はいま患者1人につき1日1万5910円。10対1は各種の加算を上積みしても1万3870円で、転換した場合の病院側の減収が大きい。例えば200床の病院が7対1から10対1に転換した場合、年間約1億2千万円の収入減となる。
このため二つの基準は残しつつ、10対1病床と7対1病床との報酬差を縮められる仕組みを導入する。10対1の入院基本料をベースに、実際に受け入れている重症患者の割合や手術の実績などに応じて報酬を上乗せする。