中公新書の「定年後」がベストセラーになり、経済誌も定年後について大型特集を組んだ
定年後の生き方を考える動きが盛んになっている。
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50歳からの生き方を書いた楠木新さん(63)の「定年後」(中公新書)が2017年4月の発売から20版24万5千部のベストセラーになった。企業に勤める人が多い1989~92年入社の「バブル世代」が50歳を迎える時期とも重なり、経済誌「週刊ダイヤモンド」と「週刊東洋経済」が相次いで定年後特集を組んだ。
家庭や地域でのつながりが薄く、仕事一筋だった男性がスムーズに退職後の生活に移行できないケースが顕著だといい、定年後のうつ病や、妻が「主人在宅ストレス症候群」を抱えるケースも。中高年男性を対象にした生き方セミナーも盛況だ。
楠木さんは「定年前後の一番大きなギャップは、つながりが切れることだ」と指摘する。仕事一筋で会社中心の一つの軸しかない生き方より、家族の中の役割やボランティア、地域活動、学び直しなど、他の軸を持つ生き方を勧める。
91年に「メンズリブ」を提唱して男性の生きづらさについて語ってきた中村彰さん(70)は「定年後の生き方について考えることは、今、機運が高まっている働き方の問題を見直すことともつながるのではないか」と話している。
定年について50~60代男性への調査
《退職前に準備しておけばよかったこと》
1位 年金見込み額の試算
2位 退職金の金額の確認
3位 新しい趣味を作る
《退職後に向けて準備していること》
1位 年金見込み額の試算
2位 特になし
3位 自分の病気、健康状態のチェック
(野村不動産アーバンネットが2015年に首都圏と関西圏で実施したインターネット調査)