名古屋掖済会病院の安藤裕貴医師=名古屋市中川区
毒を持つ南米原産のヒアリが全国各地で見つかるなか、救急医が「正しい知識を持ってほしい」と毒の症状や治療法を紹介したサイトが20万回以上閲覧されている。
強毒「ヒアリ」国内初確認 環境省「侵入否定できぬ」
ヒアリに関するトピックス
サイト「医療者のための正しく恐れるヒアリ学」は、名古屋掖済会(えきさいかい)病院救命救急センターの安藤裕貴医師(39)が作成した。「ヒアリに刺された時は冷やす」といった対処法や、刺された時に起きうる急激なアレルギー反応で、死に至る可能性もある「アナフィラキシーショック」についての基礎知識にも触れている。
また、ヒアリ生息域の住人の約5割が年に1回刺されている米国内の現状などを紹介。医療関係者向けだが、専門知識のない人でもわかる内容だ。研究が進んでいる米国の論文約20本を読み込み、最新の情報をまとめた。安藤医師は「ヒアリの毒に致死性があるという誤ったイメージが先行しているが、毒そのもので死ぬことはない。気をつけるのはアナフィラキシーのほう。刺されたらどうなるのかという情報が少なかった」と話す。
環境省によると、ヒアリは昨年5月に兵庫県尼崎市で国内で初めて確認された。その後、浜松市や広島県呉市でもみつかり、12月25日までに12都府県で26事例が確認された。冬場は動きが鈍るが、暖かい土の中などで越冬し、春先に再び活動が活発になるとみられ、サイトが役に立ちそうだ。
安藤医師は「必要以上に恐れず、不安を和らげることにつながれば」とサイト作成の理由を語った。サイトのアドレスは(
http://www.nagoya-ekisaikaihosp.jp/?p=6766
)。(後藤隆之)