2016年の第48回全日本大学駅伝で区間賞を獲得した早大の永山博基
箱根駅伝で往路3位からの追い上げを目指す早大。トップの東洋大とは1分56秒差だが、逆転できないタイム差ではないと信じている。狙うはあくまで総合優勝。レース前から、選手、スタッフ全員が共有していた目標だ。
青学大、大会新で箱根駅伝4連覇 東洋大を6区で逆転
特集:箱根駅伝2018
往路3位は1区から5区の選手が、それぞれ安定して力を発揮した結果だった。相楽監督は「80~90点」と評価する。
「早稲田はもうないな」「早稲田は無理」に主将発奮
しかし、箱根を迎えるにあたり、昨季総合3位で名門の前評判は決して高くなかった。昨年の出雲駅伝で9位、全日本大学駅伝で7位と不本意な結果に終わったのが大きい。テレビや雑誌、インターネットなどで箱根報道を見るたびに、優勝候補に早大がない評価を目の当たりにし、選手たちは悔しい気持ちを抱いた。
駅伝主将の安井雄一(4年)は、代弁して言う。「出雲と全日本の結果を見て、『早稲田はもうないな』『早稲田は無理』という声をすごく聞いていた。そういう下馬評を覆してやりたかった。最後は笑顔で大手町で並べるように、復路の選手も全ての力を出し切ってほしい」
相楽監督もそんな状態には気づいていた。練習前後の集合や、ミーティングなどで、選手たちに「そこ(出雲と全日本の結果)は関係ないよ」。ときには諭し、ときには励ました。日々の練習を見ていて、手応えがあったから、動じることはなかった。
8~10区の3人を変更した復路へのポイントを、指揮官は「初出場組が練習を信じていかに走れるか」と話した。特に各チームがポイントに挙げる6区は、渕田拓臣(1年)にそのまま託した。
最も期待を寄せたのが、7区を任せたエース永山だ。12月上旬にあった足への違和感で、調整が十分にできず、現在の状態は7~8割。調子が上がれば往路1区か3区で起用する考えもあったが、1日でも回復できる時間をとった方がいいという判断で、復路に回した。
「ガラスのエースですけど、スタートラインに立てば必ず仕事をしてくれると思います」。そう言って7区に送り出した永山に、相楽監督は、「エースの意地を見せろ!」という声をかけ続けた。(遠田寛生)