(8日、全日本高校バレーボール選手権決勝 鎮西3―0洛南)
男子は鎮西、女子は金蘭会V 高校バレー
3年生の鍬田がアタックで31得点をあげ、最後は1年生の水町が決めた。鎮西の畑野監督は「まじめな3年生と明るい1年生の力で優勝できた」と目を潤ませた。
洛南に勝利した大会直前の練習試合の経験から、畑野監督は両エースが本調子なら勝ちきれると踏んでいた。洛南のエース大塚をアタック決定率46・3%に抑え込んだ一方で、鍬田は64・6%と圧倒、水町も42・9%と踏ん張った。
2016年4月の熊本地震で鎮西の体育館は半壊。その後は主に近隣の大学施設を借りて練習。県外での練習試合を増やして実戦中心で鍛えてきた。
「地震のときは窓から逃げた。余震のたびに怖かった」という鍬田は、「たくさんの人に支えられて練習できるようになった。コートでその思いを表せた」と語った。コート上での優勝インタビューでは両親に感謝の言葉を贈った。
一方、地震の時も熟睡していたという水町は「震災で練習が短期集中になった。新しい体育館ができても、その良さを忘れないようにしたい」。インタビューでは鍬田に向かって「大好きです」と絶叫し、場内の笑顔を誘った。
「ピンチをチャンスに変えた」という畑野監督の指導は厳しかった。まじめに受け止める鍬田もいれば、自分のペースを守る水町もいた。困難を乗り越える道筋が、いくつもまとまった日本一だった。(忠鉢信一)