南スーダンの首都ジュバに設置された国内避難民キャンプで暮らす子どもたち=昨年12月14日、石原孝撮影
「もう希望は失った」。2011年に独立したアフリカ東部の南スーダン。紛争を逃れた人々が避難する首都ジュバのキャンプで先月、ニャルアク・ボル・ニャクさん(35)は、力なく答えた。
会社勤めの夫、4人の子どもとジュバ近郊で暮らしていた。政府軍と反政府勢力の衝突で内戦に陥ったのは、約4年前の13年12月15日。翌日、最低限の家財道具を手に取り、国連が設けたキャンプに避難した。
最初は1~2週間で家に戻れると思っていた。だが、戦闘は全土に広がり、状況は悪化の一途をたどった。キャンプにはテント式住居がひしめき合い、3万8千人以上が暮らす。
電気は通っていない。水も不足気味。ソルガムという穀物などの食料配給が国連から定期的にあるが、「1日1食しか食べられない時もある。肉や魚はここに来てから食べていない」。
1歳から15歳の子どもたちは、ぼろぼろのマットや地面の上で眠る。学校に通わすこともできていない。長男はキャンプ内でトラックの荷下ろしの仕事をし、家計を支える。
だが、「ここ(キャンプ)にいれば、殺されることも、誘拐されることもない」。命があり、家族が一緒にいられるのが幸せだという。「取材されているこの瞬間も幸せ。私たちの暮らしや声を日本や世界の人に知って欲しい。平和を、希望を取り戻したい」。記者の目をじっと見つめた。
「キャンプの外に出れば殺され…