新国立競技場の建設現場で使われていたコンクリート型枠の合板には、マレーシア・サラワク州のシンヤン社のロゴがあった(昨年4月、環境NGO提供)
大会を通じて、環境や人権などを大切にする社会を体現できるか。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて課題も見える。
特集:新国立競技場
問題になっているのが、競技施設の土台のコンクリートを固める型枠に使う木材だ。新国立競技場の工事をする大成建設などは、「軒庇(のきひさし)」と「屋根集成材」は森林認証を得た国産材を使う方針だが、型枠にはマレーシア・サラワク州の熱帯林乱伐で地域の先住民と紛争が多発している企業「シンヤン」グループの合板が使われていた。
事業主体の日本スポーツ振興センターは「指摘の型枠合板は国際的な認証を取ったもの」と説明する。
だが、国内外の環境NGOは、木材がどこで伐採されたかを特定したり、熱帯林の木材の使用をやめたりするよう調達基準の改定を求めている。昨年9月には、連名で大会組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)などに書簡を送った。
昨年12月、NGOの代表らがIOCと組織委の担当者と会い、調達基準の改定などを申し入れた。インターネット電話で参加したIOCの担当者は「指摘は重要で、組織委と議論している。対話を続け対応していきたい」と答えたという。
熱帯材を使った型枠合板はコン…