2019年11月の完成を目指し、建設が進む新国立競技場=5日午前、東京都新宿区、朝日新聞社ヘリから、仙波理撮影
スポーツの祭典を通じて、環境や人権を大切にする流れを広げよう――。2020年の東京五輪・パラリンピックで、こうした取り組みが動き始めた。めざすのは、環境の保護や貧困の撲滅など17分野の目標をかかげる国連の「持続可能な開発目標(SDGs(エスディージーズ))」を進めることだ。
国際オリンピック委員会(IOC)はSDGsに沿った大会運営を求め、大会組織委員会も「史上最高に持続可能な大会」をかかげる。国連が15年に採択して以降、夏季五輪として初めて準備段階から進める本格的なSDGs五輪をめざす。
組織委がとくに取り組むのが、建設資材や食材だ。建設業者、選手村の食堂や競技施設のフードコートで食事を提供する業者らに対し、重要な6分野で調達基準づくりを進めている。
すでに「木材」「農産物」「畜産物」「水産物」では基準をつくった。食品やせっけんなどに使われる「パーム油」と「紙」は3月末までにつくる。
基準では、環境と、生産地で働く人や先住民の人権を守ることを重視する。木材は、伐採で生態系を崩さないことや地域住民らの権利に配慮することを義務づけた。
農産物は環境や生態系との調和、水産物では小さい魚までとるのを減らす取り組みなどだ。第三者機関がこれらを審査して認証したものを推奨している。
組織委は調達基準のほか、「持続可能性に配慮した運営計画」の第2版を6月までにつくる。自然エネルギーを増やしたり排出量取引制度を使ったりして、二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにする「脱炭素五輪」をめざす。再利用やリサイクルの推進、長時間労働の禁止や人権保護なども盛りこむ方針だ。
■緩さ指摘す…