電気自動車(EV)と小水力発電の水車。EVは四輪駆動ではないため冬季は使わない。今後は水車を使って充電する予定だ(岐阜県郡上市白鳥町石徹白、廣中健太さん提供)
岐阜県郡上市に移住した男性が、高齢者の買い物や通院などの無料送迎に取り組んでいる。新天地で触れた住民の温かさへの恩返しで始めた。小水力発電で電力の自給自足を目指す集落に憧れて移住した男性は、「地元産」の電力を活用した電気自動車(EV)での送迎にも取り組もうとしている。
週に1度、無料で
「今日はどちらへ」。昨年11月下旬のある平日、車を運転する廣中健太さん(36)が後部座席の同乗者に声をかけた。
「道の駅とコンビニに」「野菜を煮たもんで、妹に持って行きたいんです」。シートに座る80代の女性3人が返事をした。
出発地は標高約700メートルにある郡上市白鳥町の石徹白(いとしろ)地区。岐阜・福井県境に接し、廣中さんを含めた住民約250人のうち半数が65歳以上だ。急カーブがいくつも続く峠道を30分以上下り、ふもとの町にたどり着いた。
送迎は週1度で無料。回覧板で周知し、電話で予約を受ける。自宅へ迎えに行き、病院やスーパー、美容院など、ふもとの町内なら目的や送り先は問わない。半日かけて利用者の用事を済ませ、また自宅へ送る。
石徹白には商店もコンビニもな…