1月5日午前に緊急地震速報(警報)が発表された地域
揺れ出す前に、大きな地震の発生を知らせる緊急地震速報。運用開始から10年が経ったが、新年早々、東京都心を含む関東一円に誤って「過大な予測」が発表された。何が起きたのか。
緊急地震速報「過大な予測」 二つの地震を一つと認識か
5日午前11時2分ごろ、関東地方のスマートフォンやテレビなどから、緊急地震速報(警報)を知らせるアラームが鳴り響いた。都内では1年半ぶり。多くの人が身構え、安倍晋三首相が閣議前、手元の携帯電話を確認する様子がテレビで映された。
だが、「警報級」の揺れは起きなかった。
緊急地震速報は、地震の発生メカニズムを利用し、最初の微弱な揺れ(P波)を解析し、実際に被害をもたらす揺れ(S波)の大きさを予測するシステムだ。テレビやスマホで誰でも受け取ることができる警報と、精度は高くないが速報性重視の企業向けに発信される「予報」がある。
警報は2点以上の地震計でP波を観測し、最大震度が5弱以上と予測された場合に、震度4以上になる地域に出される。
5日の警報は、茨城県沖が震源で、予測震度は同県南部で最大5強程度。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・4との推定で、同県北部や千葉県北部でも震度5強~5弱になるという予測だった。警報は関東地方や福島県に出されたが、実際に起きた揺れは茨城県神栖市で最大震度3、M4・4。千葉県や福島県で震度1~2の揺れが起きた程度だった。
「二つの地震を同一の地震として処理したため、過大に予測してしまった」。気象庁の担当者はこう説明する。
気象庁によると、茨城県沖の地震の発生は午前11時2分26秒。そのわずか3秒前、北陸でも富山県西部を震源とするM3・9の地震が起きていた。
同庁のコンピューターは、まず…