米連邦議事堂前で10日、移民救済制度DACAの早期法制化を訴えるヘクター・リベラ・スアレスさん(前列左)=ワシントン、香取啓介撮影
トランプ米大統領は10日の記者会見で、子どもの時に親に連れられて米国に来た不法移民の若者を強制退去の対象にしない移民救済制度DACA(ダカ)の復活について、自身の公約の目玉である国境の壁の建設が条件だと改めて強調した。前日に司法がトランプ氏の廃止方針に待ったをかけたが、従来の姿勢を崩さなかった。
トランプ政権は昨年9月、米国人の雇用と安全を奪ったとしてDACAの廃止方針を打ちだした。対象となる不法移民の若者は約80万人いるとされ、制度が終わる3月以降は強制退去の恐れがある。トランプ氏は野党・民主党が求めるDACAの恒久化と引き換えに不法移民対策強化をのませようと、9日に与野党議員と会談した。
ただし、直後にサンフランシスコ連邦地裁がDACA廃止決定を差し止める判断を出した。民主党がDACA単独での法制化の可能性を探る中、トランプ氏は会見で「与野党ともDACA問題の解決に行き着くと信じている。ただし、それには壁が含まれなければならない」と繰り返した。
10日、連邦議事堂前に民主党議員とDACA制度で滞在する若者約60人が集まり、法案の早期成立を訴えた。ノースカロライナ州の大学生ヘクター・リベラ・スアレスさん(20)は21日にDACAの期限が切れる。「今も毎日122人がDACAの資格を失っている。私もあと11日だ。自分で自分の将来をコントロールできないように感じる。明日にでも法律を通して欲しい」と話した。(ワシントン=香取啓介)