被告人質問に臨む野村悟被告=福岡地裁、絵と構成・宮崎志帆
指定暴力団工藤会の「上納金」をめぐる脱税事件で、所得税法違反の罪に問われた工藤会トップで総裁の野村悟被告(71)への被告人質問が12日、福岡地裁であった。野村被告個人と工藤会の金は「全く別々だ」と述べ、建設業界などからの上納金の一部を被告の所得とする検察側の主張を否定した。多額の遺産、サイコロ賭博、高級車……。野村被告の口からは、自身の資産や暮らしぶりなども語られた。
上納金と個人所得「全く別」 工藤会トップ、脱税を否定
特集:工藤会
野村被告の証言によると、両親が北九州市内に田んぼや山林を数多く所有し、生前から多額の売却益を得ていた。約30年前に母が亡くなった際には約7億円を相続。その後の不動産売買でも数千万から億単位の収入があったという。
1980~2000年ごろには、同市内で「タブサイ」というサイコロの賭場を開帳した。「一晩の稼ぎは平均2千万~3千万円で、最高は2億円ほどあった」。客として暴力団関係者のほか、金融・不動産業者、近隣の市議や町議らも参加したと述べた。
しかし「(前総裁の)溝下さんがバクチが嫌いで、『やめてくれんか』と言われてやめた」といい、被告の手元には、約20年間で約10億円が残ったという。金の一部は融資に回していたとし、「利息は取らず、貸した相手の商売がうまくいった場合には、元金と一緒に利益の一部を受け取った」と述べた。
検察側は、14年に野村被告が…