19日、ワシントンで記者会見するボサート米大統領補佐官=AFP時事
今年5月に世界150カ国以上で被害が出た大規模サイバー攻撃をめぐり、米政府高官は19日、攻撃が北朝鮮政府によるものだったとして、強く非難した。
5月のサイバー攻撃については、これまでにも米ロのセキュリティー会社などが北朝鮮の関与を指摘していた。米政府は断定を避けていたが、トーマス・ボサート大統領補佐官(国土安全保障)は会見で、「北朝鮮で起きることは全て指導部の指示によって起きている」として、サイバー攻撃に北朝鮮政府が直接関与したとの見方を示した。さらに、「北朝鮮は見境のない攻撃で、大惨事を起こそうとした。核開発やサイバー攻撃を通じて全世界を危機にさらそうとしている」と強く非難した。
攻撃の分析には各国政府やマイクロソフト社、セキュリティー会社などが加わったとし、「英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、日本もこの分析結果を共有しており、ともに北朝鮮を非難する」と語った。
攻撃では、米マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズ」を使うパソコンが標的になった。大企業や公的機関などが狙われ、英国では医療機関も被害を受けた。日本でも2千台以上のパソコンが被害にあった。(ワシントン=宮地ゆう)
◇
今年5月に世界各地で被害が出たサイバー攻撃について、菅義偉官房長官は20日午前の記者会見で「我が国として、事案の背後に北朝鮮の関与があったと明確に断定したい」と語った。判断に至った経緯については「事柄の性質上控えたい」と述べた。