販売されていたフグのパック。切り身に交じって、肝臓(右上)が含まれていた(愛知県提供)
愛知県蒲郡市のスーパーで肝臓を含んだフグの切り身5パックが販売された問題で、4パックを回収したものの、1パックは既に購入者が食べていたことがスーパーへの取材でわかった。健康被害はないという。一方、県によると、スーパーの担当者が県の調査に「以前から販売していた」と話したという。県は16日、食品衛生法に基づき立ち入り調査に入った。
肝臓含むフグ「以前から販売」 スーパー側、認識乏しく
県によると、スーパーは同市の「スーパータツヤ」。15日に肝臓を含んだヨリトフグの切り身を7パック準備し、5パックが売れた。同日午後、購入者の一人から「パックに肝臓が入っている」と豊川保健所に連絡があり判明。県は同法に基づきスーパーに回収命令を出していた。
スーパーの担当者は県に「毒性が低く、有毒との認識がなかった」と話しているという。ただ、厚生労働省によると、フグの種類にかかわらずフグの肝臓の販売は禁止されている。
スーパーの社長(77)は16日、朝日新聞の取材に「(食べた人から)大丈夫だったと連絡があった。大変申し訳ございません。今後、フグ類は一切売りません」と話した。
鳥羽水族館(三重県鳥羽市)によると、ヨリトフグは国内では北海道から九州南部まで生息。成魚で約25センチ、大きいものは40センチを超える。愛知県蒲郡市の海産物販売所によると、地元では「チョウチンフグ」と呼ばれ、かつては肝臓もみそ汁やなべに入れて食べていたという。