漫画家大友克洋さんが「バベルの塔」の内部を描いた作品を鑑賞する内覧会の入場者=オランダ・ロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館、津阪直樹撮影
東京、大阪で昨年開かれた「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」(朝日新聞社など主催)の凱旋(がいせん)展が10日から、オランダ・ロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館で一般向けに公開される。開催を記念したイベントが9日あり、「AKIRA」などの作品で知られる漫画家で映画監督の大友克洋さんが日本から駆けつけた。
特集:ブリューゲル「バベルの塔」展
「バベル 日本から帰ってきた名画」という題で5月21日まで開かれる。塔の内部を大友さんが想像して描いたり、塔を元にした3次元の映像を作ったりした日本での展覧会の内容が評価され、母国にも紹介しようと凱旋展が企画された。シャーレル・エックス館長は「塔が実在したと想像する視点はとても新鮮で、刺激を受けた。オランダの人にも日本での展示を楽しんで欲しい」と話す。
凱旋展では、塔の内部を描いた大友さんの作品も展示される。大友さんは「欧州の美術館は作品を間近で見られ、人々の日常の生活の一部にもなっていることを感じる。自分の作品をこういう場に展示されるのは恥ずかしい気もするが、もっと作品づくりを頑張ろうと思った」と語った。
昨年の展覧会は、日本で24年ぶり2度目の「バベルの塔」の公開となった。約66万人が訪れた。(ロッテルダム=津阪直樹)