モスクワ郊外で11日に発見された、墜落した機体のものとみられる破片=AP
ロシア緊急事態省によると、11日午後2時20分(日本時間同8時20分)ごろ、モスクワ南郊外のドモジェドボ空港を離陸したサラトフ航空機(アントノフ148型機)が直後に連絡を絶ち、墜落した。当局は、乗客65人と乗員6人の生存は絶望的としている。
「機体バラバラになって落ちた」ロシア機墜落、全員死亡
同機はモスクワを発ち、カザフスタンに近いウラル山脈南部のオレンブルク州オルスクに向かっていた。だが、離陸して数分で、管制のレーダーから機影が消えたという。まだ上昇中だったとみられる。
墜落現場はモスクワの中心部から東南約五十数キロの農村地帯。事故当時、雪が降っており、気温は零下4~5度。積雪で道路事情が悪く、現場に向かった救急隊員ら150人は車で到着できず、徒歩で向かったという。国営の24時間ニュース放送「ロシア24」は、雪に埋もれた野原に落ちた、機体の一部とみられる破片の映像を流した。
事故直後、ソコロフ運輸相が現場に向かった。インタファクス通信は緊急事態当局幹部が「乗員、乗客が生存している可能性はない」と語ったと伝えた。
航空当局が墜落原因の調査を始めたが、まだ分かっていない。タス通信によると、フライトレコーダーが見つかったという。ロシア大統領府報道官は、プーチン大統領が政府に対し、事故原因を解明する特別委員会を設置するよう指示したことを明らかにした。
サラトフ航空は在モスクワ日本大使館の問い合わせに「乗客名簿に日本人の名前はない」と回答したという。一方、オレンブルク州の当局者はインタファクス通信に「乗客は全員、州の住民だ」と語った。地元報道によると、サラトフ航空機が到着予定だったオルスクの空港には11日夕、乗客の家族や近親者が集まり、医師や非常事態省のカウンセラーらが対応しているという。(モスクワ=喜田尚)