決勝1回目、エアを決める岩渕麗楽=22日午前、アルペンシア・ジャンプセンター、白井伸洋撮影
(22日、平昌五輪スノーボード女子ビッグエア決勝)
女子ビッグエア、16歳岩渕が4位 藤森7位、鬼塚8位
スノボ岩渕麗楽、大技温存で予選通過「金目指したいな」
身長149センチ、体重44キロ。「今でも小学生に間違えられることがある」という16歳の小さな体には、強く太い芯が通っている。
昨年5月、米コロラド州のスキー場で、岩渕麗楽(キララクエストク)は空中技「バックサイド・ダブルコーク1080」(縦2回転、横3回転)の習得に取り組んでいた。当時はまだ、世界で1人しか試合で成功させていない女子屈指の大技だ。ところが、合宿3日目、初めて挑んだ岩渕は、あっさりと一発で成功させてしまう。
「びっくりした」と語るのは、日本代表の西田崇コーチ。ただ、本当に驚かされたのはその後だった。
直後に飛んだ2回目は、周囲が心配するほどの大転倒。飛び過ぎて、顔から雪面にたたきつけられた。その激しさに「もうやめるだろうなと思ったし、やめさせようと思った」と西田コーチは振り返る。ビッグエアの飛距離は30メートルを超え、場合によっては命の危険さえ伴う。実際、この時もレスキューの電話番号は事前に調べていたという。
だが、ムクッと立ち上がった岩渕は「今やっておかないと、明日はもっと怖くなる。だから、今のうちにやっておきます」。声は震えていたが、迷わずスタート台に再び向かった。3回目。もう一度鮮やかに着地を決めた。
岩渕が言う。「五輪で戦うには必要な技。どんなに怖くても、もう一回チャレンジするのが大事だと思った」。西田コーチは「あの年齢の女性で、あんなに気持ちの強い子には会ったことがない」と語る。
この日は2回目と3回目で、バックサイド・ダブルコーク1080に挑戦。着地は失敗したが、日本勢最上位の4位。「これが今の実力と受け止め、4年後またチャレンジしたい」。さらなる成長を誓った。(吉永岳央)