決勝3回目、エアをする岩渕麗楽=林敏行撮影
(22日、平昌五輪スノーボード女子ビッグエア決勝)
「今でも小学生に」小さな岩渕、強い心 ビッグエア4位
女子ビッグエア、16歳岩渕が4位 藤森7位、鬼塚8位
スノーボードの新種目ビッグエアの岩渕麗楽(れいら、キララクエストク)が日本勢で最上位となる4位に入った。練習できるのは週末のみと、決して恵まれた環境ではない中、表彰台まであと一歩に迫った。
岩手県一関市出身。スノーボードが趣味の両親に連れられ、県内のスキー場で初めて板に乗ったのは4歳の時。休憩を挟まず延々と滑り続ける少女の存在は、スキー場でちょっとした話題になった。ジャンプ台やレールなど、場内に設けられた障害物を攻略する面白さに取りつかれるまで、時間はそうかからなかった。
ただ、決して恵まれていたわけではない。両親はともに会社員。スキー場に行けるのは週末と長期休みの時だけ。全日制の高校に通い、トップ選手になった今でも、例えば宮城県内のエアマット施設で行う夏場の練習は土日に限られる。母の恵里香さん(44)は苦笑気味に、「他の選手たちのように、環境をそろえてあげられていなかった」。
だが、岩渕は「ハンディだと思ったことはありません」。もちろん、練習量の少なさは本人も自覚する。それでも「時間がいっぱいあっても、本当に集中できる時間は意外と短い」と言う。「時間が取れない分、『できる時にしっかりやろう』って気持ちが強くなる。そこが良い方向につながったんだと思います」。より内容の濃い練習を、と常に意識することが、成長を加速させた。
自宅のある一関市から、なじみのスキー場までは車で往復2時間超。宮城県内のエアマット施設は往復5~6時間。ワンボックスカーでの車中泊だって「割とどこでも寝られるタイプなので」と笑い飛ばす。
「五輪に出たい」。岩渕が初めて言ったのは、保育園の卒園式だった。父の和宏さん(43)は「あの時は、何の五輪選手になるつもりだろう?って思ったんですけどね」。16歳の高校生は両親の想像も超え、夢を結実させた。(吉永岳央)