犠牲者185人の名前が刻まれた「追悼の壁」で花を捧げて祈る堀田和夫、聖子さん夫妻。娘を地震で亡くした=22日、クライストチャーチ、小暮哲夫撮影
ニュージーランド南部のクライストチャーチ市で22日、2011年2月の地震で犠牲になった185人を追悼する市主催の式典があった。7年前のこの日に起きた地震では、日本人28人も亡くなった。日本政府関係者や遺族らが出席し、犠牲者を悼み、花を捧げた。
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式典は185人の名前を刻んだ「追悼の壁」(長さ110メートル、高さ約3メートル)の前で行われた。全員の名前が読み上げられた後、地震の起きた午後0時51分(日本時間午前8時51分)に1分間の黙禱(もくとう)をした。
アーダーン首相が出席し、「私たちは犠牲者の40%以上が外国人だったことや、遺族の方々の悲しみを忘れない」と述べた。日本政府からは中根一幸外務副大臣が出席した。
地震では、市中心部のカンタベリーテレビ(CTV)ビルに日本人28人を含む115人の犠牲が集中。遺族らが関係者の刑事訴追を求めてきたが、警察は昨年11月、ビル設計者らの過失致死罪での起訴を断念した。
同ビルで亡くなった看護師の鈴木陽子さん(当時31)の両親、喜久男さん(71)、千鶴子さん(70)夫妻は名古屋市から式典に出席。喜久男さんは「もう7年たったのだなあという思いだ。二度とこのような震災が起こらないでほしい」と語った。
堀田和夫さん(63)、聖子さん(58)=富山市=は、同ビルで語学研修中の娘、めぐみさん(当時19)を亡くした。和夫さんは「(起訴断念に)娘の無念が晴らせない。(ビル倒壊の)責任を認めて謝罪してほしい」と話した。(クライストチャーチ=小暮哲夫)