突如発表された、韓国と北朝鮮の首脳会談。両国の関係は変化するのか。北朝鮮による拉致被害者の家族や、在日コリアンからは期待と不安の声が上がった。
韓国と北朝鮮、4月末に首脳会談 「米と対話用意」表明
拉致被害者家族連絡会の飯塚繁雄代表(79)は「南北が仲よくなり、核やミサイルが飛ばないのなら、戦争するより良い」と評価した。「韓国が北朝鮮と対話をするというチャンスを日本政府もうまく生かし、韓国に働きかけて拉致問題が進展するような方法を考えて欲しい。韓国に『日本と交渉して拉致問題を解決すれば、北朝鮮も潤う』と言ってもらうなどすれば良いのではないか」と話した。
一方、拉致被害者家族の市川健一さん(72)は「国際社会が制裁を加える中、北朝鮮は五輪を通じて韓国に近づいているのではないか。これまでも譲歩するとみせて見返りをもらい、約束をほごにしている。北朝鮮の政策が変わるとは思わない」と、国際社会が引き続き圧力をかける必要性を訴えた。
朝鮮半島の統一を願うイベントを毎年、日本で開いてきた大阪市の在日コリアン3世の鄭甲寿(チョンカプス)さん(63)は「歓迎したい」と話した。1985年から始めた音楽イベントは最近、数千人以上が参加し、企業からも寄付が集まるようになった。鄭さんは「楽観はできないが、対話をきっかけに、交流の拡大につなげてほしい。北朝鮮で苦しい生活を強いられている人たちの援助につながることを願いたい」と語った。
朝鮮学校に子どもを通わせていた在日コリアン3世の女性(55)は「いつ戦争が起きるかと気が気でなかったのに、こんな日が来るとは思っていなかった」と喜んだ。この10年ほど、朝鮮学校や在日朝鮮人への風当たりの強さを感じてきた。「閉ざされた南北の交流が再開し、朝鮮半島や日本の人々がともに手を携える契機になってほしい」と期待を寄せる。