杉本昌隆七段(右)の初手を受けて、次の手を考える藤井聡太六段=8日午前、大阪市福島区、筋野健太撮影
将棋の中学生棋士として史上初めて六段に昇った藤井聡太(そうた)六段(15)と師匠の杉本昌隆七段(49)との初の公式戦が8日午前、大阪市福島区の関西将棋会館で始まった。将棋界では弟子が師匠に公式戦で勝つことを「恩返し」と言う。藤井六段が「恩返し」を実現させるのか、杉本七段が師匠の貫禄を見せるのか、注目の一局だ。
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師弟戦は王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の1次予選。対局は午前10時に始まった。杉本七段は「忍」と書かれた扇子を持ち、初手を指すのにやや時間を使った。時折、口をへの字に曲げ、気合の入った表情だった。一方の藤井六段は、最初に指す前にお茶を一口飲み、落ち着いた表情をみせた。持ち時間は各3時間。終局は午後になる見通し。
藤井六段は、2月17日の第11回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)で羽生(はぶ)善治(よしはる)竜王(47)ら一流棋士たちを相次いで破って棋戦で初優勝し、六段に昇段。1月11日から公式戦13連勝中で勢いづいている。
二人の関係は、藤井さんが小学生のころにさかのぼる。出会ったのは名古屋市にある日本将棋連盟東海研修会。東海研修会の記録によれば、最初の杉本・藤井戦は2010年3月21日で、杉本さんが自陣の飛車角と2枚の香車を取り除く「四枚落ち」というハンディ戦の指導対局で、杉本さんが小学1年だった藤井さんに勝った。
藤井さんが弟子入りしたのは、…