兵庫県姫路市で昨年、男児が意識不明になる虐待事件が2件あり、兵庫県児童虐待防止委員会(委員長=立木茂雄・同志社大教授)は9日、「同一自治体で繰り返し重大な事案が起こっている」として、再発防止に向けた組織的な構造改革などを姫路市に求める検証結果報告書を井戸敏三知事に手渡した。
児童虐待防止法に基づいて都道府県が虐待の検証のために設ける組織が、特定の自治体に抜本的対策を求めるのは珍しいという。兵庫県は近く姫路市に報告書に基づく改善を要請する。
姫路市では昨年2月、男(24)が同居女性の1歳の長男に暴行を加える傷害事件が発生。昨年5月には、別の男(30)と妻(25)が1歳の次男を虐待する事件が起き、いずれも男児は意識不明の重体となった。2件目の事件では、保健師が両親と面会できていないのに、姫路市の担当課が虐待リスクについて「一時保護の緊急性は低い」と判断していた。
報告書は、保健師や担当課などの間の情報共有が不十分で、虐待の危険度の高まりを念頭にした対応ができていなかった、などと指摘。兵庫県のこども家庭センター(児童相談所)での職員研修、外部の専門アドバイザーの配置、担当課が一元的に迅速な情報収集を図る体制の構築などを提言した。(島脇健史、高橋孝二)