日本ボート・オブ・ザ・イヤーの特別賞を受賞したトヨタ自動車の高級ブランド・レクサスのボート試作艇=横浜市
最新のボートや水上バイクを展示した「ジャパンインターナショナルボートショー」が8日、横浜市のパシフィコ横浜などで始まった。トヨタ自動車やホンダ、ヤマハ発動機など、四輪や二輪で知られるメーカーも「海」に注力し、新型のボートや船用外付けエンジン(船外機)をアピールした。
トヨタ自動車は高級車レクサスブランドの大型ボートの試作艇を出展した。全長12・7メートルで8人乗り。レクサス車の高級クーペ「LC」にも使われている排気量5リットルのエンジン2基を積む。さらに大型にしたボートを2019年後半以降、国内外で順次売り出す。
ボートに注目が集まりがちだが、稼ぎ頭として各社が力を入れているのが船外機だ。
「ホンダのDNAである高い燃費性能、耐久性は船外機でも強みになっている」。ホンダの長井昌也・マリン事業部長は力を込めた。12月に売り出す新型の船外機は、部品周りにアルミ素材を使って耐久性を上げたり、選べる色の種類を増やしたりした。
ヤマハ発は、ボート18隻を展示し、マリン事業で最大手の存在感を示した。
ヤマハ発は営業利益の4割をマリン事業で稼ぐ。なかでも売上高の6割を占める北米市場は、富裕層を中心にレジャー用にボートを楽しむ人が多く、前年比14%増だった。
船外機はボート本体より利益率が高いほか、欧米では300万円前後する大型の需要も伸びている。臼井博文・マリン事業本部長は「北米などの先進国では、リーマン・ショック前を上回る市場規模になっている」と話す。
国内メーカーがつくる船外機は、耐久性や燃費などの評価が高く、昨年の世界の船外機シェアの7割をホンダやヤマハ発、スズキなどの国内メーカーが占める。各メーカーは自動車などのエンジン開発で培った技術を船外機に応用し、競争力を鍛えてきた。
ただ、国内のマリン市場は縮小傾向。日本マリン事業協会によると、国内のレジャー用ボートの保有数は00年の約44万隻をピークに右肩下がり。16年は、約24万隻とピークの半数近くまで減った。人口あたりのボート隻数も、米国は20人に1隻なのに対し、日本は552人に1隻にとどまる。
国内の小型船舶免許の保有者数は増加傾向にある。ただ、免許はあっても船は買わずに借りる人が多いという。こうした層をボートや船外機の購入に結びつけられるかが、今後の課題だ。
ショーは11日までで、延べ5万4千人の来場を見込んでいる。(高橋克典、木村聡史)