入場行進するジョージア選手団=9日、平昌五輪スタジアム、加藤諒撮影
ジョージアからは、スキー距離に26歳の男子、36歳の女子1人ずつが出場。2人ともアームレスラー(腕相撲選手)として世界で活躍してきた。今大会に向けてスカウトされ、1年前にスキーを始めたばかりだ。
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特集:平昌パラリンピック
ジョージアがパラ出場へ本格的に動き出したのは、昨年2月。ポーランドチームのクロスカントリー合宿に初めて選手を派遣した。そこで白羽の矢を立てられたのが、今回の2人。ともにアームレスリングで鍛えた腕や背筋の強さが選出の理由だった。
ともにスキー経験はほぼゼロだった。用具を借りてスキーに取り組んだ。ジョージアにはクロスカントリーのコースもない。普段はジムでトレーニングを積み、雪上で練習する機会は数回だけだった。
それでも、2人は初挑戦に前向きだ。「アームレスリングはパラ種目じゃない。パラリンピックには出たいと思っていたんです」と女子のニノ・サバシュビリは言う。
ジョージアは旧ソ連圏。年配の人たちを中心に、障害者に対しては偏見も残る。「車いすの人は、家から外に出るものではない」。そんな考え方も根強いという。
「だからこそ、パラリンピック初出場は重要」とジョージアパラリンピック委員会のメンバー。2008年北京から夏季大会に参加し、冬季も参加にこぎ着けた。「障害者の能力を引き出し、誰にとっても人生は美しいと知ることができる。スポーツで社会を変えていきたいんです」
中央アジアからは語学堪能教師が初出場
大阪府とほぼ同じ人口870万人(2016年)の山岳国、中央アジアのタジキスタンからは、28歳のシオブシュ・イリヤソブが男子のスキー距離にただ1人出場する。視野が徐々に狭くなる難病の網膜色素変性症で視覚障害を抱えながら、母国では盲学校で英語教師をしている。
日本の民間団体の招きで研修生として来日した経験があり、タジク語、英語、ロシア語に加えて日本語を話す。本格的な競技開始は16年12月。そこから1年でワールドカップに出場し、パラリンピック出場にこぎつけた。