甲状腺検査の結果
東京電力福島第一原発事故から7年。散乱したデブリの様子がようやく見えてきたが、事故の全容解明は遠い。
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内部調査が本格化
炉心溶融(メルトダウン)した福島第一原発1~3号機では昨年から今年にかけ、原子炉格納容器の内部調査が本格化した。溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しや事故の解明には、デブリの状態や放射線量などの情報が欠かせない。だが、調査できた範囲はわずかで、デブリの姿も一部が垣間見えただけだ。
東電の解析によると、1~3号機のうち、最も溶融が激しいとみられるのは1号機だ。核燃料のほとんどが原子炉圧力容器の底を突き抜けて落ちた可能性が高いとされる。ロボットによる調査は、昨年3月にあった。作業用の足場からカメラを格納容器にたまった水中に垂らした。だが、砂のような堆積(たいせき)物が多く、その下にあるかも知れないデブリを撮影することはできなかった。
最も調査が進んだのは2号機だ。
昨年1月にまず遠隔カメラが、その後にロボット「サソリ」が格納容器の中に入った。メルトダウンした圧力容器直下の様子が初めて明らかになり、足場が大きく抜け落ちて堆積物がこびりつき、いたるところに黒い塊が散乱している状況がわかった。
さらに、遠隔カメラによる追加調査が今年1月にあった。圧力容器の中にあった燃料集合体の最上部につくハンドルが、格納容器の底付近に落下しているのが見つかった。東電は、こうした状況から、長さが約4メートルある燃料集合体がほぼ溶けて圧力容器を突き抜けて落ちたと判断。周囲に散乱していた小石状の堆積物はデブリとみられると発表した。
最も水が多くたまっている3号機には昨年7月、水中ロボットが投入された。茶色っぽい塊が、圧力容器の下部にある構造物からつららのように垂れ下がり、その下では溶岩のように積み重なっているのが発見された。東電は、いったん溶けて再び固まったような様子から、これらがデブリと判断。これが福島第一原発で初めて確認されたデブリとなった。
国と東電は、2021年に1~3号機のいずれかでデブリの試験的な取り出しを始めるとの目標を掲げる。だが、一連の調査で、内部の壊れ方が深刻だとわかったほか、例えば2号機でデブリの近くより遠くの線量が高いといった新たな謎も出てきた。本格的にデブリを取り出すにも、作業員の被曝(ひばく)を抑える安全な工法や取り出してからの保管先も未定だ。福島県は、デブリなどの廃棄物を最終的に県外に搬出するよう求めているが、受け入れ先の自治体探しは議論すら始まっていない。原子力規制委員会の更田豊志委員長は2月、「いたずらに取り出しを急ぐことがリスク低減に結びつくとは思わない」と語った。
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