船で女川湾沖に向かう成田博美さん。成田さんの長女、絵美さんは女川町で津波にさらわれ、行方不明のままだ。「早く帰っておいで」と呼びかけた=11日午前9時52分、女川湾沖、矢木隆晴撮影
甚大な津波被害を受けた女川町では11日、子どもを津波にさらわれた親たちが女川湾に浮かぶ船上から慰霊の花束を供えた。
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「えー」は成田正明さん、博美さん夫婦の長女、絵美さん(当時26)の愛称だ。絵美さんの好きだったという風船を海に投げ入れた。「えー、早く帰っておいで」と呼びかけた。絵美さんは、震災当時七十七銀行女川支店に勤務し、屋上で津波被害にあった。いまだ行方不明だ。正明さんは潜水士の資格を取得し、毎週のように周辺の海を捜索している。「まだまだ車などのがれきがある。何か手がかりでも見つけてやりたい」と話す。
田村弘美さんは、同じく行員で被害にあった、長男の健太さん(当時25)が発見された周辺の海を見つめると、涙があふれた。(矢木隆晴)