再稼働した九州電力玄海原発3号機(右)。隣は4号機=23日午前11時7分、佐賀県玄海町、朝日新聞社ヘリから、日吉健吾撮影
九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)が23日、再稼働した。安全性への疑問や事故時の避難に対する不安は残されたままで、地元住民らからは不安や怒りの声が上がった。
玄海原発3号機が7年3カ月ぶり再稼働 新基準で7基目
午前11時前、九電社員ら20人が詰める玄海原発の中央制御室にかけ声が響いた。
「3号機、原子炉起動操作を開始します」
運転員が計器を一つひとつ指さして確認していった。午前11時に操作レバーを倒すと、制御棒引き抜きを示すランプが点灯。原子炉が起動した。
一方、玄海原発のゲート前には朝から、再稼働に反対する県内外の市民ら100人以上が詰めかけた。警察官や警備員が厳重に警戒する中、参加者は「玄海原発再稼働反対」「命を守れ」などとシュプレヒコールを上げた。
住民が不安を抱えるのが、事故時の避難だ。玄海原発から半径30キロ圏内の人口は約26万3千人。圏内にある離島は21で、国内の原発では最も多い。30キロ圏内の自治体は避難計画づくりを義務づけられているが、その実効性を第三者が審査する仕組みはない。
30キロ圏内で最大の離島・壱岐(長崎県壱岐市)から抗議活動に参加した中山忠治さん(70)は「黙っていたら再稼働を認めることになる」と思い、前夜から泊まり込んだ。「事故が起きたら島の人はすぐには逃げられない。福島の教訓を生かしていない再稼働で、愚行だ」と憤った。
玄海町に隣接する佐賀県唐津市…