東京電力ホールディングスが、建設が中断している東通原発(青森県)の工事再開に向け、他の大手電力に協力を呼びかけていることが明らかになった。将来的には費用の分担や原子力事業の再編・統合も視野に入れる。ただ、他電力は原発事故での負担を背負わされかねないと警戒しており、先行きは見通せない。
東電が呼びかけているのは、東北電力、中部電力、関西電力、原発専業会社の日本原子力発電(原電)などで、東通原発の建設や運営に関する検討会の設立をめざすという。中部電力の勝野哲社長(電気事業連合会長)は16日、「メリットがあれば検討する」と述べたが、関西電力の岩根茂樹社長は「我々と考え方が違う」と反発した。一方、世耕弘成経済産業相は16日の会見で「意見を求められたら対応する可能性は否定しない」と述べ、経産省が関与する可能性を示した。
東通原発は着工直後に起きた東電福島第一原発事故の影響で建設が中断。東電は再建計画で東通原発を原子力事業の再編・統合に向けた核と位置づけ、2020年代に他電力と「共同事業体」を設立すると明記した。
国内で原発の新規建設が見通せない中、経産省も東通原発の建設推進に期待を寄せており、水面下では原発全体への支援策の検討も続けている。(西山明宏、笹井継夫)