原子力規制委員会は28日の定例会で、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を約30年かけて廃炉する工程を示した日本原子力研究開発機構の廃炉計画を認可した。工程は2047年度までで、費用は約3750億円。作業はまず原子炉にある核燃料を今夏から約5年かけて取り出す。その後、炉心に残る冷却材のナトリウムを抜く作業に移るが、具体的な抜き取り方法など検討中の工程も多く、計画の実効性が課題となる。
もんじゅは16年末に廃炉が決まり、原子力機構が昨年12月に廃炉計画を規制委に申請した。規制委は核燃料の取り出しでトラブルが起こった時の対応策や予備品の準備状況などを審査で確認し、計画を認可した。
計画では、廃炉の工程は4段階。まず22年度までの第1段階で炉心にある燃料計370体を取り出す。並行して放射能を帯びていないナトリウム約760トンを抜き取る。
第2段階以降で炉心に残る放射能を帯びたナトリウムを抜くが、どう抜き取るかは第1段階の工程を進めながら検討する。ナトリウムは水や空気と激しく反応するため、慎重な取り扱いが必要だ。1995年には漏洩(ろうえい)事故も起きた。原子力機構は今後、フランスなどの廃炉の先例を参考に、ポンプを開発して吸い上げる方法などを検討する。
ただ、原子力機構では昨年、別の施設で作業員5人が内部被曝(ひばく)する事故があったほか、もんじゅでも今年、作業ミスが複数あった。規制委幹部は「廃炉が計画通り進むかは不透明だ」と懸念している。(小川裕介、東山正宜)