参院予算委の開会前、麻生太郎財務相(右)と言葉を交わす安倍晋三首相=28日午前、岩下毅撮影
安倍晋三首相は28日午前の参院予算委員会で、前日行われた佐川宣寿(のぶひさ)・前財務省理財局長の証人喚問について、「政府としてはコメントしない」としつつも、財務省の決裁文書改ざんについて「私はまったく指示もしていないということは申し上げてきた通りだ」と強調した。自民党の丸川珠代氏の質問に答えた。
【特集】森友学園問題
参院予算委は証人喚問を踏まえ、「安倍内閣の基本姿勢」をテーマにした集中審議が行われた。首相は森友学園への国有地売却について「私や妻が国有地払い下げや学校の認可に、事務所を含めて、一切関わっていない」と改めて関与を否定した。
改ざんに影響を与えたと言われる昨年2月の「私や妻が関係していれば総理大臣も国会議員も辞める」との国会答弁にも言及。「役所の人がどのように受け止めたかは答えようがないということは申し上げてきた通りだ」と述べた。
民進党の川合孝典氏も佐川氏の証言について首相の感想を聞いた。首相は「証人喚問はすべて拝見した」としたものの、政府としての立場はコメントせず、「国民の皆さまの判断に任せたい」と述べるにとどめた。
改ざん問題をめぐっては、財務省は改ざん当時の理財局長だった佐川氏の関与の度合いは大きいとしてきた。しかし、佐川氏は27日の証人喚問では改ざんの経緯や関与などについては「刑事訴追のおそれがある」と証言を拒否。一方、首相や妻昭恵氏らの指示は「なかった」と断言した。
立憲民主党など野党6党の国会対策委員長は28日午前、国会内で会談した。証人喚問で疑惑はさらに深まったとの認識で一致し、昭恵氏らの証人喚問を引き続き求める方針を確認。麻生太郎財務相に対し、辞任も含めた政治的責任をとるよう求めることでも一致した。
参院予算委は28日午後、新年度予算案について首相ら全閣僚が出席する締めくくり質疑を行い、採決する。予算案は参院予算委で可決後、同日夕にも開かれる参院本会議でも可決され、成立する見通しだ。