高校の勉強は大学入試が目的ではありません――。文部科学省が27日に結果を公表した、高校の「コミュニケーション英語Ⅲ」の教科書検定では、こんな意見が続いた。
文英堂はレストランのメニュー、電車の時刻表、地図などを紹介し、「各種の資格試験などでは、このような設定や形式の問題もよく出題される」と、申請段階で書いた。同社の担当者によると大学入試センター試験や英検などの資格試験で、表やグラフなどを元に解答を求める問題が増えていることを意識した記載だったが、「生徒が誤解するおそれのある表現」との意見がつき、「資格試験」の表現を削った。文科省によると、「練習する目的が、各種の資格試験対策であるかのように生徒が誤解するおそれ」があったという。
増進堂は「本文に関連したトピックの大学入試問題を10レッスン分収録しています」として例題を載せようとしたが、「大学入試問題を解くための学習と誤解するおそれがある」との意見を受け、「大学入試問題」という言葉を「英文」に直した。学習指導要領はこの教科について「実際の社会生活で活用できる英語の能力を身につける」と定めており、文科省側は「申請段階の表現では誤解を生む」としている。(平山亜理)