無痛分娩(ぶんべん)中の事故は昨年、京都、兵庫、大阪、愛知で少なくとも6件が次々と明らかになり、発足した厚生労働省研究班が安全策を検討する動きにつながった。研究班は近く、無痛分娩を行う医療機関に、麻酔担当の医師が定期的に講習を受けることや、研修歴や無痛分娩の実施数などの情報公開を求める提言をまとめる。
無痛分娩時に障害、過失認める 賠償は棄却 京都地裁
日本産婦人科医会の調査では、お産に占める無痛分娩の割合は2014年度は4・6%だったが、15年度は5・5%、16年度は6・1%と増えている。半数以上が20床未満の診療所で行われ、麻酔科医が常勤せずに産科医が1人で麻酔もしていることが多い。
無痛分娩の麻酔が原因とみられるケースや、陣痛促進剤の過剰投与などが問題になったケースなど事故の経過は様々だ。お産はもともとリスクがあり無痛分娩中の重い事故は「一般の出産と比べて特に多くない」(医会幹部)とされる。
ただ、「陣痛促進剤の被害を考える会」の代表で、自身もお産の事故がきっかけで娘を亡くした出元明美さんは「無痛分娩は通常のお産より医師がするべき処置や手技が増える。十分な注意が欠かせない」と話す。(合田禄)